篠原愛が毎回ひとつの自分の作品について、解説をしていきます。
今回はこちら↓
Title:Symbiosis 2020-21
Year:2021
Media:Oil on canvas (油彩、キャンバス)
Size:910×910mm
時節柄、コロナに関する作品を作ろうと思った。
自粛期間中、死への恐怖から日々ネット上で飛び交う情報に翻弄され、自主的な勉強の必要性を痛感し、人体に関する専門書を取り寄せたり。いつも通っていたジムが休業になり自宅での自重トレーニングで自分の体(筋肉や内臓の性質、つくりなど)と強制的に向き合わされたり。これらの出来事は「自分(人間)の身体の性質、構造」「自然の中での人間の立ち位置」を一から考えなおすきっかけとなった。
調べて改めて実感したことは、人間(生物)の体のポテンシャルは宇宙並に壮大で複雑だということ、それでも人間(生物)は自然(宇宙)の中の一部に過ぎなくて、神羅万象の中にポツンと存在するだけのものだということ。
自分(人間)たちと同じ自然の中から発生した未知のウィルスが、私に自然(宇宙)の定理を強く認識させ、それは私の思考ファイルの一つに深い溝をつくり、今後の制作の大きな糧になろうとしている。
「フロム・ジ・エッジ-80年代鹿児島生まれの作家たち」鹿児島市立美術館展覧会カタログ掲載文より抜粋。
更新日:3月22日
篠原愛が毎回ひとつの自分の作品について、解説をしていきます。
今回はこちらの作品です↓
Title:symbiosis02
Media:Oil on cotton cloth and panel (油彩、綿布 パネル)
Size:145.5×97.0cm
Year:2007
Name:Ai Shinohara
This is an oil painting I made for my solo exhibition in May of the year I graduated from university.After my first solo exhibition, the owner of the gallery exhibited this work at an art fair in New York and sold it there, but after that it was put up for auction and has since gone missing in the world.
This is a very important work to me. So if anyone knows the owner or whereabouts of this piece, please contact me! !
私の最初の個展の後、ギャラリーのオーナーがこの作品をニューヨークのアートフェアに出品し売却したのですが、その後オークションに出品され、現在は世界中で行方不明になっています。
思い出深い作品なので、この作品の所有者または所在を知っている人がいたら、私に連絡してください。
☆作品の解説☆
・絵の内容紹介・下着姿の女の子がうつ伏せに寝転がっていて、その背中から朝顔が生え、その間にピンクのバラが群生していて、よくみたらそのバラの中からフラミンゴの頭がのぞいている。
・シュルレアリスム的な表現。現実にはありえない世界。
・絵の制作に関する話・大学学部を卒業した年の、5月の個展用に描いた油彩。大学の時に借りてた小さいアパートで描きました。
・1月に卒業制作を提出して、そこから描き始めたから、制作期間は1~2ヶ月くらい?この時は完全に昼夜逆転の生活をしていて、あまり健康的ではなかったですけど。よく頑張って描いたなぁと思います。
・当時「どうしてこういう絵を描くんですか?」と聞かれた時に、「写実的に写真のように描くことは誰でもできる。絵じゃないとできない表現をしないと、絵にする意味はないんじゃないかと思うのでこういう表現で描いてます」と答えた覚えがあります。
・この絵の白眉は、女の子の背中から植物の根が生えているところだと自分では思っているのですが、これは大友克洋さん(AKIRAとか童夢とか描いた漫画家)の有機物の描き方から影響を受けています。
・「なぜフラミンゴなの?」と質問されたのですが、「ピンクのバラからメタモルフォーゼするわけだから、ピンクの鳥がいいよね、じゃフラミンゴだ!!」みたいな感じで。今はモチーフや世界観に意味を含ませたりするけど、初期の頃はモチーフ選びも結構適当でした。若かった。
・この作品は初個展で展示をしたあと、そのギャラリーのオーナーがNYのアートフェアに展示してくれてそこで売れたのですが、その後オークションに出されてしまい、世界で行方不明になってしまいました。
なのでこの作品の持ち主や行方を知っている方がいたら私に連絡をください。
一つの作品をつくるのに時間がかかる人、そのため作品数が多くない人、作品の所在をきちんと把握しておきたい人は、そこを理解してくれるギャラリーやプロデューサーを見極めて付き合うのが大事かもしれません。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
※2023年3月14日にnoteにあげた記事に、加筆、修正を加えて再掲しました。
【お知らせ】『特別展 恐竜図鑑 -失われた世界の想像/創造』に、油彩の過去作品「ゆりかごから墓場まで」を展示していただきます。
3/4~5/14日は兵庫県立美術館で開催、5/31~7/22には上野の森美術館に巡回します。
『従来の恐竜展の主役は化石ですが、本展では太古への限りない憧憬が込められた「パレオアート(古生物美術)」のロマンあふれる世界へとご案内します。世界各国から集められた作品は、その数およそ150点。恐竜発見以前の幻獣から19世紀の奇妙な復元図、20世紀の躍動感あふれる作品、サブカルチャー、近年の研究に基づくパレオアートまで、古代生物に抱いてきたイメージの歴史を網羅する作品が揃いました。(公式HP みどころ より)』
子どもの頃から憧れていた恐竜絵画の展示にとりあげてもらえて嬉しいし、何より展示内容が濃そうで楽しみ。よろしくお願いいたします🦖
Title:From the Cradle the Grave(ゆりかごから墓場まで)
Year:2010-2011
Media:Oil on canvas (油彩、キャンバス)
Name:Ai Shinohara
足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました。
※2023年3月3日にnoteにあげた記事に、加筆、修正を加えて再掲しました。